26. たっぷりがいっぱい (2001.07.16掲載)
先日、何を血迷ったかNHKラジオの「ラジオ体操」を聞いた。もちろんラジオ体操は聞くものではないが、何となく「ラジオ体操第二」というフレーズに吸い寄せられ、聞き入ってしまった。 「ラジオ体操第一」の方は毎朝職場で流れているし、聞き慣れたメロディーで何の感慨もないが、めったに聞かない「第二」の方は、明るいのか暗いのかはっきりしないその旋律を耳にするだけで変に懐かしい気分になってしまう。そして小学校低学年の頃の情景が、ふつふつと甦ってくるのだ。 夏休みに行った母方の里の小高い丘で、ラジオ体操をしながら見た瀬戸内の海。キラキラ輝く美しい海と島々を縫う漁船。ラジオ体操カードと蝉の声。おいしい空気たっぷり。緑もいっぱい・・・。 ん?たっぷり?いっぱい? 職業柄この手の単語には妙に神経質になってしまう。「栄養表示基準制度」という制度の関係で、食品のパッケージに「○○たっぷり」などと表示する場合にはそれなりの根拠が必要なのだ。例えば「カルシウムたっぷり」と表示するためには、固体100g中にカルシウムが210mg以上含まれていなければならないし、「ビタミンCがいっぱい」だと30mg以上のビタミンCが必要となる。 せっかくのセンチメンタルジャーニーだったのに、新しい制度のせいで現実の世界に呼び戻され、テンションもひかえめになってしまった。 ん?ひかえめ?これもマズイ。 栄養成分を抑える旨の表示についても規制がある。「カロリーひかえめ」なら100gあたり40kcal以下でなくてはならず、低塩ならナトリウムとして120mg以下という制限がある。 こまかい数字をいろいろ出してしまったが、要するに食品パッケージ上のキャッチコピーには基準があるということで、消費者にとってはありがたい制度といえる。 しかし、ひとつだけ対象から外してもらいたい食品がある。それは、ラジオ体操の皆勤賞でエンピツと一緒にもらったグリコのキャラメル。思い出がたっぷり詰まってて、懐かしさもいっぱいだからである。
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