50.かわきもの(2002.01.08掲載)
ここ15年ほど、今日12月31日の過ごし方は変わっていない。それは、幼なじみ7名による「忘年会ファイナル大富豪大会in道後温泉」である。大のオトナがトランプである。恥ずかしくて誰にも言えないが、楽しいから誰かに言いたい。で、このコラムでそのさわりを紹介することにした。 17時、「家族とトランプとどっちが大切なの」とわめく家人に回し蹴りを入れ、家を飛び出す。結婚前は、「男の友情ってステキ」なんて夢見る少女を演じていたメンバーの家人たちも、六人六様の恨みを亭主の背中にぶつけ、家中の人となる。 17時30分、某CVSに集合。ジャンクフード、濡れ珍味、乾珍味などをしこたま買い込み出発。 18時、道後温泉のホテルY着。15年目ともなるとVIP扱いかと思いきや、「部屋を散らかす悪党」とのレッテルでも貼られているのか、なぜか視線は冷たい(ちゃんと正月料金払ってるのに)。 19時、入浴後ふつうの宴会。 21時、紅白を見ながらふつうの2次会。1次会爆食後のおつまみベスト5は、漬物、チー鱈、チーカマ、ビッグかっちゃん、麦チョコ。毎年のことながら、かっぱ、ポテチなどのかわきものには誰も手をつけない。 0時、ふつうの年越しそばをいただいて、大富豪大会開始。ローカルルールで大富豪様からカードを置く。よって、強い者がより強くなり、約1時間はポジションチェンジなし。大富豪様はふかふか二重布団、ドヒンミンは板の間正座。大富豪様は食べ飲み放題、ドヒンミンは禁酒禁煙。大富豪様のカードはドヒンミンが運ぶ。ドヒンミンのカードもドヒンミンが運ぶ。 しかし、不思議なもので朝の6時までやると全員が全ポジションを経験する。だから栄枯盛衰の定めを知る賢者は、上り詰めても弱者を足蹴にしない。この6時間に人生の縮図が込められ、新年を占うバイオリズムの波動が潜んでいるのだ。 6時30分、ふつうにオールしたメンバーは無言の朝食を終え、帰り支度。交わす言葉は決まっている。「また年末にね」。1年ぶりでも全然懐かしくなく、1年先が全然遠くない幼なじみの不思議。 やっぱり残ってしまったかわきものを手土産に、家路を急ぐ。ちょっとしょっぱい罪滅ぼしの味。かわきものの味。今年もよろしくの味なのです。
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