74.ときどきすること(2002.06.24掲載)
ときどき、サッカーの審判をする。所属するクラブチームが地区リーグに加盟している関係で、3級審判員の資格を携えて1試合500円の勤労奉仕にいそしむ。 審判をする上で最も難しい点は、カードの出し方やシミュレーションの真偽判定ではない。それは、タッチラインを出たボールの帰属。最後にさわったプレーヤーを見極め、どちらのスローインでどちらのエンドを指し示せばいいのかを瞬時に判断する。単純なようで結構神経を遣う作業である。 ちなみに地区リーグレベルでは、選手はほとんど転ばない。たいていのタックルには耐える。それは、脚力が強いからではなくグラウンドが固くて痛いから。芝生は僕らのあこがれである。 ときどき、結婚式の司会をする。もちろん、職場の同僚や身内に限っての話だが、緊張状態で頭を回転させると脳内にエフェドリンが放出されてわりと気持ちがいい。 司会をする上で最も難しい点は、荘厳なしゃべり方や禁句に気を付けることではない。それは、人の名前。プレッシャーのかかる状態で呼び慣れない人の名前を記憶から呼び出し、スムーズに声に出す。新郎と媒酌人婦人が結婚してしまったり、両親が新婦と兄弟になってしまわぬよう細心の注意を払う。 だから、知り合いの司会しか引き受けない。約半数の出席者の名前が頭に刷り込まれているということは、大きなメリットなのである。 ときどき、家でだしを取る。削りぶしからのだし取りを各地で勧めているからには自ら進んで台所へ。市販の2倍つゆをだし汁で希釈すれば、短時間で専門店のつゆに化ける。 だし取りで最も難しい点は、火加減や削りぶしの種類ではない。それは削りぶしの量。1リットルのお湯なら削りぶしは30g。普通につかむと3つかみ。とにかくどっさり削りぶし。火加減や時間や種類が少々変わっても、この3つかみさえ厳守すれば、天然だしのほんわか風味がかあちゃんの味を演出するのだ。 TBSドラマ「渡る世間は鬼ばかり」でも、「おかくら」の調理場シーンで大吉が削りぶしをお鍋に3つかみ入れていた。娘5人の帰省がキャンセルとなり、大吉がグチりながら調理するシーンであった。
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