80.おたまじゃくしがかえるに変身したよ(2002.08.05掲載)
夏休みの理科研究がきらいだった。小学校6年間で一度もやったことがない。コツコツ地道な観察日記系は性に合わなかったし、一発勝負の大発見系はそれに頭がついていかなかった。なのに、今は白衣を着て科学者ぶったりしている。そこで、30年前の懺悔をかねて、県内小学生の理科研究優秀作品展示会をのぞいてみた。 どうせ先生か親が手伝った「やらせ」研究だろうと高をくくっていたが、実際に作品を目の当たりにし、やらせを超越した力作ぶりに驚いてしまった。 3年間のお天気を毎日記録し、小学校低学年的統計処理で気象傾向をまとめた1年生の作品「3ねんかんのおてんき」。 コーヒーフィルターを利用してペーパークロマトグラフィーを行い、サインペンの色素成分を調べた2年生の作品「サインペンのひみつをみつけたよ」。 2色に塗ったコマを回すことで、色彩の混合についての考察を行った3年生の作品「へんしんしたこまの色」。 仮に親が手伝った研究だとしても、その着眼と発想と気力は尊敬に値する。いや、世間の垢にまみれ、要領よく生きた時間が長い親だからこそ、子供の視点に立った純な着眼とコツコツ観察はすごいことだ思う。 定番のオタマジャクシ観察ネタも、着眼点を工夫すればきらめく優秀作品となる。2年生の研究「おたまじゃくしがかえるに変身したよ」では、成長が遅く8月に入っても変態しない「弱者」に着目し、屋内で飼育すると変態できないが屋外で飼育すると立派なカエルになることを発見している(通常は屋内外の飼育で差は出ない)。屋外飼育の着眼は「外で元気に遊びなさい」と言われる子供ならではの発想か…、と思わせたのだから親の発想力もすごい。 受賞作品の共通項には、この「子供の目線」以外に「実験の工夫」と「ていねいなまとめ」があるように感じた。つまりは我々の商品開発も同じこと。「消費者の目線」「商品の工夫」「ていねいな包装」は最低限の品質レベルである。 理科研究を制するものは商品開発を制す。
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