81.シャコタンジョージア(2002.08.12掲載)
尾崎豊が歌っていた「15の夜」がすごく好きだ。特に、2番の「100円玉で買えるぬくもり熱い缶コーヒー握りしめ」。1989年の消費税導入で110円になっても、1998年になぜか120円になっても、自販機の前に立てば15の夜なんだ。 19の朝、福岡に住む親友を訪れた私は、いきなり「ゆうれい坂」なる秘境に連れて行かれた。福岡県遠賀郡岡垣町の山中にあるこの坂は、目の錯覚で登り坂のように見えて実は下っているというふしぎ坂。さっそく缶コーヒーの空き缶を置いてみると、見事に坂を登り始めた。UFO特番的摩訶不思議体験。ひとしきり転がした後、引力に逆らった缶を空き缶入れに投げ込んだ。近辺に自販機はないが、空き缶入れの中の約半数がシャコタンジョージアだった。 シャコタンジョージアとは、ショート缶(190g)ジョージアが世の中に登場した頃の俗称。これで火がつき、ジョージアは先駆者UCCをぶっちぎってシェア43%のガリバー商品となった。クープマンのマーケティング理論によると、この数値はシェア獲得の最終目標で、まず逆転されることはないという。ちなみに、これと同等のシェアを誇る商品に、ソニーのハンディカム、日清食品のカップヌードル、ヤマト運輸の宅急便などがある。 ところで、件の親友は寝ても覚めてもシャコタンジョージアというヘビーユーザー。1日10本の爆飲で年間40億本というジョージアの実績に貢献し、体重10?増というおまけもついた。缶コーヒーの糖分は、ショート缶1本で10〜20g程度。最高でも砂糖大さじ2杯分くらいだが、1日10本飲めば10?増も仕方ない。 全国に約210万台あるという自販機のうち、約95万台がジョージアを売るコカコーラグループ。街角の誘惑にはなかなか勝てないのである。
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