98.ギャラの出どころ(2002.12.16掲載)
近ごろ法律相談系のバラエティー番組がふえた。日テレの「行列のできる法律相談所」、フジの「ザ・ジャッジ!」などであるが、元祖は、NHKで土曜日のお昼頃やっている笑福亭仁鶴司会「バラエティー生活笑百科」だと思う。 なんでも鑑定士の次はお茶の間弁護士がもてる時代。弁護士、裁判官、検察官を合わせた法律家人口が6000人に1人というレアな状況ではそれも道理か。アメリカは300人に1人というが、まさかアメリカのような訴訟社会の到来を先取りしたわけでもあるまい。 先日、そんな番組の1つを見ていたら、「会社の出張でたまった航空会社のマイレージサービスを私的に利用しても良いか」との設問が出ていた。そんなことはダメに決まっている。会社の経費を使って得た利益なのだから個人に還元すれば業務上横領だ。問題として取り上げること自体ナンセンス。と思っていたらスタジオの議論は白熱。タレントたちは「頑張って出張を続けた結果としてのメリット」という論点で多くが私的利用を援護する発言だった。 この世間知らず発言を聞いて、「ギャラの出どころを理解していないから、会社の経費か個人のカネかという感覚が欠落してしまっている」という某評論家のタレント批判を思い出した。 民放局から支払われるタレントのギャラは、スポンサー企業から出された番組提供料が原資。クイズ番組の豪華景品も、みのさんが切る小切手も、出どころは同じである。 資本主義のしくみは単純なのだ。 我々のギャラは1個100円の商品を手にしてくれるおばちゃんの財布から。公務員のギャラは我々の血税から。 改めてこう考えると、「ムテンカムテンカ」とうるさいおしゃもじおばちゃんの要求に応え、誠意ある商品開発をしなければと反省。そして、不況で「税金」という原資が減っているのだから公務員のギャラ削減は当然だと納得。 優秀なクラブのおねえちゃんは、大勢の客の中からその日領収書を切る人間を見抜く嗅覚を持っているという。ギャラの出どころは重要な問題なのである。
|
column menu
|