1008.見逃せない技術(2021.2.22掲載)
日経サイエンス2021年3月号に「エマージングテクノロジー 見逃せない10の技術」という特集記事が掲載されていた。 この中から、よりタイムリーな4つの事例を紹介したい。 低炭素セメント…現在、世界で毎年40億トンのセメントが生産されているが、製造工程で加熱が必要であり、生じる二酸化炭素は世界の総排出量の8%。これを一国の排出量として見ると、セメント生産は中国と米国に次ぐ第3の排出国に相当する。 そこで、二酸化炭素の排出を30%減らす化学処理技術が研究されたり、排出された二酸化炭素をセメントの中に貯留する技術が開発されたりしている。驚くべきは、セメントの中に空気中の二酸化炭素を吸収する細菌を練りこむ研究で、ベンチャー企業のバイオメゾン社が取り組んでいる。 電気飛行機…飛行機が排出する二酸化炭素は世界の総排出量の2.5%。電気飛行機なら排出削減だけでなく、燃料費を90%、騒音を70%、保守費用を50%も減らせる。 NASAが開発中の電気飛行機は電動プロペラが動力源だが、主翼を通常より短くして空気抵抗を減らしているのが逆転の発想。 全ゲノム合成…スイスの研究チームが新型コロナウイルスを合成によって作り出したのだが、その設計図であるゲノム配列は中国の研究者がデータベースにアップロードしたもの。つまり、ウイルスを試験管に詰めて輸送しなくても、ゲノム配列をメールすれば世界中に配送したことと同じ。なんかこわい。 マイクロニードル…新型コロナのワクチン接種は垂直打ちの筋肉注射で痛そうだが、肉眼ではほとんど見えないマイクロニードルなら心配ない。長さは紙の厚さほどで太さは毛髪ほど。神経との接触を避けることで痛みを回避する。 以上4事例。ドラえもんのポケットから出てきそうなネーミングばかりだが、それだけにワクワクして見逃せない技術なのである。
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