1056.PPM(2022.2.7掲載)
身内の医者が、「1日のコロナ感染者数が人口10万人当たり2人以下になったら学会に行ける」と言っていた。 2月2日時点の東京都だと10万人当たり154人だから到底無理だが…。 ちなみに、10万人当たり2人という濃度は20PPM。この濃度、加工食品で発生するクレームの確率とだいたい同じ。どんな大手メーカーでも、商品を10万個発売したら2件程度はクレームが来るという数字である。 身近な事象で20PPMがどのくらいかというと…。 ごはん1杯は約3000粒。毎日1杯ご飯を食べる人は1年間で約100万粒の米粒を食べることになるが、そのうちのたった20粒が20PPM。 あるいは、家庭のお風呂200リットルに4ミリリットルだから、水ちょろちょろ。 距離で考えるなら、1万メートル走で20センチのフライング。 どれもわずかな数字だが、これが目に見えない微量成分を測定する分析科学の世界になるとさらに細かい。 現在の分析機器の性能だと、ppmどころかppb(10億分の1)単位の数字も出してくれる。そんなとてつもなくミクロな存在の物質も、分析機器の液晶に数字として出されてしまえば、それはもう絶対的なものになってしまい「2ppbも出てしまった」などという呟きも出てしまう。 試料を分析機器にかけるまでの操作は生身の人間がするわけだから、その数字の重みをもう少しリアルに感じなければならないと自らも反省。 いわんやコロナ感染者数をや。 そして、夕食のごはんの最後の一粒をかみしめ、PPM(ピーター・ポール&マリー)を聴きながら、明日の実験がうまくいくことを願うのです。
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