1058.カジュアル論文(2022.2.21掲載)
1987年、24歳で初上京した。 いろいろなカルチャーショックと挫折を体験したのだが、そのことをまちづくりの小論文にまとめ、大胆にも松山市に提案したことがあった。 こんな青い感じで…。 東京には力みがない。肩の力が抜けているというか自然な感じというか。逆に言えば、地方都市はちょっと力が入りすぎているんじゃないか。 例えばファッション。雑誌やブティックのディスプレイから飛び出してきたような、いかにも「お金かけてます」という感じのコテコテスタイルが地方都市の典型的なおしゃれだとすれば、東京の洒落人は、GパンとTシャツに代表される超カジュアル。 そして商店街。東京で人の集まるところにアーケードはない。地方都市の諸事情があるとは思うが、無理矢理アーケードに人を閉じこめるのはどうかと思う。 公園にしてもそうだ。土と緑があれば自然に人は集まるのだから、強引に客寄せのシンボルのようなものをつくらなくてもいい。企画者がむりやり目的を提示するからおかしくなるのだ。 バブリーな建造物やシステム化されたテーマパークではなく、カジュアルな広場があればいいんだ。無目的でふらふらできる空間が必要なんだ。 …カジュアルに提出して当然無視された論文だが、20代にありがちなまあまあ失礼な内容である。 ただ、35年たって、それらしい公園が中心部にできてるからちょっと嬉しい。 ちなみに、上京して一番へこんだ挫折は「人」のすごさだった。 頭が良くてカッコよくて家柄もよくて懐に余裕があって、スポーツ万能。ここまで揃うと田舎だと100%「いやな奴」だが、東京で出会った全部持ってる人は、みんな持ってるものをひけらかさないカジュアルな「いい人」。 圧倒的な「人間力」を前にして自己嫌悪に陥り、田舎に逃げ帰った。 この点、近々カジュアルな論文に仕上げて市長さんに提案する予定である。
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