1059.帰国子女(2022.2.28掲載)
サラリーマンに聞いた「なりたい職業ベスト3」というのがある。 第1位…プロ野球の監督、第2位…オーケストラの指揮者、第3位…馬主。 確かに3つとも魅力的なポジションで、スポーツの努力、芸術の努力、金儲けの努力が結実した姿である。わたしもなりたい。 ソニーの経営者でありながらタクトを振っていた大賀典雄氏なんて、さしずめサラリーマン憧れの的だな。 職場で同様のアンケートを取ったら、意外にも「うなぎ屋の大将」という回答が1票あった。けど、うなぎ屋はキツイぞ。なにせ身開き3年、串打ち5年、焼き一生の修行道。半端な志じゃ続かない。 てことで、うなぎの老舗、神田「きくかわ」の暖簾を20年ぶりにくぐった。 並に相当する「うな重イ」が2500円から4180円に、上に相当する「うな重ロ」が3000円から5610円に値上がりしていた。 味も最高、値段も最高。 コストダウンで、近畿大学が開発したウナギの味がするナマズを食べたことがあるが、全く別物で余計にストレスがかかってしまった。 ご存知うなぎの生態はナゾだらけ。マリアナ諸島の産湯をつかり、幼名をレプトケファルス。黒潮に流れ流され十余年で日本にやってくるが、産卵の際はマリアナ諸島まで帰る。 白魚時代の幼名がレプトケファルスで、成人すると鰻だなんて、なんだか帰国子女みたいでカッコいい。 そんなことを考えながら、肝吸いをすすってみた。 やっぱりうなぎ屋の大将より、客の方がいいと思った。
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