107.幹部研修大全(2003.2.24掲載)
某国家機関の研修所から、「民営化に対応するために企業の厳しさをレクチャーしてほしい」との要望で2時間の講演を頼まれた。来る仕事拒まずの精神で引き受けはしたものの、半世紀も生きてない若造に精神論をたたかれたんじゃ聞く方もいやだろうと考え、自分自身がこれまでに受けた幹部研修のおいしいところを抽出して伝えることにした。 企業人を十数年やってると、さまざまなパターンの幹部研修を受ける機会がある。陸上自衛隊研修では、50kgの土嚢を担いだ50m走で7秒2の研修生記録を樹立。大尉殿から「来ないか」との名誉あるお言葉をいただいた。東京の食品流通事情を学ぶ研修では、デパ地下への納品実習で台車をひっくり返し、床に散乱した商品を涙ながらに拾い集めた。 こんな体育会ネタをつかみにして、これまでに延べ100時間は受けたであろう座学のエキスを3編にまとめて伝えた。3編とは、数字編、キーワード編、精神論編。座学研修で講師がのたまう訓辞は、このどれかに当てはまるのだ。 例えば数字編。「火をつけなくても燃える人3%、火をつけると燃える人17%、火をつけても燃えない人80%」「文字で伝わるもの7%、言葉で伝わるもの45%、接して伝わるもの100%」なるほどわかりやすいが、根拠はあるのかな、この数字。 例えばキーワード編。「アブナイ幹部は、甘部、勘部、汗部、喚部、患部」「3K2Dはダメ。つまり、カン、コツ、ケイケン、ドキョウにダキョウ」。なるほどおもしろいが、優秀な講師はダジャレ王ということか。 例えば精神論編。「職場では意志決定をする人が主役である」「できない理由は3つ。手段がない、目的がない、やる気がない」。なるほどそうだけど、気合いだけじゃねぇ。 こんな感じの2時間コース。結局幹部研修なんて、常識的な判断基準を言葉遊びでわかり易く伝えているだけ。だからエキスだけでも十分伝わるのだ。 企業の厳しさ伝授と引き替えに、記念切手シートをいただいた研修会であった。
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