1085.パンの国(2022.9.5掲載)
日本は世界中のパンが気軽に味わえるパンの国らしいが、あまりに気軽すぎて本来どこの国が起源のパンなのかわからなくなっている。 そこで、メジャーどころのパンの出自を整理してみた。 クロワッサンとブリオッシュ(フランス)…バターや卵をたっぷり使う高カロリーコンビ。小麦粉、塩、水、酵母のみのフランスパンを食事系とすれば、この2つはデザート系。 スコーン(イギリス)…発酵せず、ベーキングパウダーだけで膨らませる。イギリスの食事はまずいと言うが、スコーンならいける。 プレッツェル(ドイツ)…グリコのプリッツのルーツ。カリカリの皮がおいしいが、固いので注意。2002年1月、NFL観戦中のブッシュ大統領がプレッツェルを喉に詰まらせた。 ポン・デ・ケイジョ(ブラジル)…ミスタードーナツのポン・デ・リングのルーツ。表面は固く中はモチモチ。本家はキャッサバ粉(タピオカ澱粉)を使うらしい。 フォカッチャ(イタリア)…ピザ生地みたいな平たいパン。オリーブオイルをつけて食べるという行為は、田舎者には全く無縁の概念だった。 マントウ(中国)…三国志の諸葛孔明が考案したとされる、まんじゅうのルーツ。中国は黄河と揚子江の中間あたりに線を引くと、北が小麦文化圏で南が米文化圏。小麦はエネルギー効率がいいのか、北方中国人は体格がいい。 給食のパン(GHQ)…戦後食糧難の物資援助という大義名分を立てたアメリカの小麦販売戦略。この販促にはまったからこそ、今のパン天国があるのかもしれない。それにしてもスケールの大きいPR作戦だな。 今から50年前の給食当番。渡り廊下につまずいてひっくり返したパンの箱から、個包装されていない給食のパンがあふれ出た。 教室の前に立ち「皮をむいて食べてください」と涙ぐんだ日のことは、今でも鮮明に思い出すパンの国なのである。
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