1087.変な表示(2022.9.19掲載)
花かつお商品のパッケージ裏面には、次のような警告表示が書かれている。 「まれに魚の骨や皮が混入することがありますのでご注意下さい」 花かつおの原料はカツオなんだから骨も皮もあって当然。と、開き直ることができたのは遠い昔の話。魚は切り身で泳いでると思い込む子供がいるのだから、この警告表示は仕方のないことかもしれない。 先日も、お客様相談センターに「おたくの花かつお、魚臭いんだけど」というクレームの電話が寄せられた。ぐっとこらえて「本品は魚からつくられています」という警告表示を検討せねばならない危機的状況なのである。 他業界の事例はどうか。たまたま手元にあった越後製菓の「切りもち」にも、期待通りの警告表示があった。 「のどにつまらないよう飲み込める大きさでお召し上がりください」 お正月の定番ネタである「餅をのどにつめる事件」であるが、製造物責任を問われかねないメーカーにとっては、笑い事ではない。企業生命を賭けた警告表示なのだ。 訴訟社会のアメリカは変な警告表示だらけである。 マクドナルドのコーヒーカップに書かれている「ホットコーヒーは熱いです」という警告は有名だが、他にも「落としても絶対に途中で受け止めないでください」…ナイフ、「飲み込むと危険です」…釣り針、「体を洗うのには使わないでください」…便器清掃用ブラシ等々。 自己防衛のための変な表示。そこまで書くなら、自分の名刺にも変な警告表示を入れてみてはどうか。 「商談が成立しないとまれにキレることがありますのでご注意ください」 花かつおがカツオからできているように、商談をするのは生身の人間。 メールやリモート商談全盛時代だからこそ、そんな原点を思い起こさせるための変な表示なのである。
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