109.アトムの食卓(2003.3.10掲載)
年末特番のラーメンチャンピオン、「俺の空」の行列に加わるため、最寄り駅であるJR高田馬場駅を利用した。高田馬場は、2003年4月7日が誕生日である鉄腕アトムの出生地。ホームにはアトムの主題歌が流れていた。 鉄腕アトムに始まる日本のアニメ市場は現在約1900億円。邦画興行収入の1位から5位までがアニメだし、日本のアニメが放映されている国も100カ国に及ぶという。外国人には「大人が電車でマンガを読む」行為が理解できないらしいが、かく言う外国人も日本のアニメが大好き。この不況下、アニメは数少ない好況産業なのだから、恥ずかしがらずにどんどん輸出すればいい。 食品業界におけるアニメのごとき海外進出といえば、醤油、カニかま、カップラーメンが古典的ビッグ3。新参では味の素とハウスの提携による「レトルトカレー」中国進出。森永乳業の「アロエヨーグルト」ドイツ進出などがある。特に後者は、単品で260億円稼ぐヒット商品をドイツの乳業メーカーでそのまま再現し、同じ味、同じパッケージデザインで勝負しようというもの。1個0.7ユーロ(約90円)らしいが、果たして売れるかな。 40年前には手塚治虫先生も予想できなかったであろう2003年の食品業界。アロエなんかも食べちゃってますけど、ラーメンばやりで結構昔のままですよ、先生。 もう一つ手塚先生が予想できなかったものに電話機がある。アトムの世界でもダイヤル式のままだったという小ネタは有名だが、先日、8歳の甥っ子が、いまだに買い換えない実家のダイヤル式電話を前に、「使い方がわからない」と言った時は驚いた。生まれた時からプッシュ式があたりまえの彼にとって、初めて見るダイヤル式電話は博物館的古民具だったに違いない。やっぱり今って近未来なんだ。 進化したり、昔のままだったり。とにかく、2003年はアトムの食卓なのである。
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