1099.15の法則(2022.12.12掲載)
衣食住で冬支度がいそがしくなってきた。 この時期になると必ず「春先はいつまでコタツを出していたのか」とか「コートをしまったのはいつだったか」とか考える。 つまりは、11月、12月は年明けのいつ頃と同じ気候なのかという疑問である。 この答えを導くべく気象台のデータを眺めていると、ある法則の存在に気がついた。 それは、足して15になる月どうしは平均気温がほぼ同じ(1月は13月として考える)という法則である。つまり、1月と2月、3月と12月、4月と11月の平均気温がかなり近いのだ。 この法則は全国的に通用するようで、2019年東京の平均気温…4月13.6℃、11月13.1℃。同松山…4月14.8℃、11月14.1℃。同鹿児島…4月17.5℃、11月17.0℃という具合である。 しかし、どう考えても桜と緑の4月と、枯葉舞い散る11月では季節感が違いすぎる。平均気温には現れない折々の要因が、人間の体感を左右しているのかもしれない。 新学期も始まり日々気温が上昇する4月は希望の暖かさに満ち満ちているが、ある日突然寒くなり、日の長さが4月より2時間ほど短い11月の寂寥感は身も心も寒くする。 食品業界はこの心理を突く。 晩秋はおでん販売のピーク月。冬の底である12月〜2月より、冬に向かわんとする10月、11月の方がおでんが売れるのだ。 初冬の夕暮れ時。 おどろおどろしく迫る夕闇から逃れるように田んぼの畦道を駆け、家路を急いだ少年時代。あの日と同じように、サラリーマンたちは食卓のおでんや鍋を思い描きながら、駅の階段を駆ける。 食品業界も冬支度なのである。
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