112.日本四大珍味(2003.3.31掲載)
魚肉ソーセージが発売されて今年で50年。あのオレンジ色セロファンとピンク色ボディーが忘れられないという人も多いと思う。 1953年、戦後の動物性タンパク質不足を補うために開発された魚肉ソーセージは、1954年、「第5福竜丸」被ばく事件の影響で消費が落ち込んだマグロの利用策として一気に生産が拡大した。ところがその後、使用していた添加物の発がん性問題で消費が激減。小学生だった当時、売れなくなった魚肉ソーセージを動物園の白クマに与えるシーンをニュースで見て、「白クマさんはがんになってもいいのか」と思ったことを覚えている。 その魚肉ソーセージ、ここにきて狂牛病が追い風となり再び生産量が増加しているという。それにしても時代にもまれる商品だ。1954年の生産量が2千トン。福竜丸事件で1956年には1万8千トン。高度経済成長期の1965年に18万8千トン。すごい。発がん性問題で6万トンまで落ち込むも、魚食回帰で昨年が6万3千トン。 発売50周年。いろいろ苦労した魚肉ソーセージの労をねぎらい、日本三大珍味の仲間に入れてあげるってのはどうか。日本三大珍味は、うに、からすみ(ボラ卵巣の塩漬けを干したもの)、このわた(なまこの内臓の塩辛)。世界三大珍味のフォアグラ、トリュフ、キャビアと違い、全て海産物だから魚肉ソーセージにも資格はあるし、激しい浮き沈みを経験したという意味では十分に珍味である。 魚で肉の代用をしたという世界に誇る日本の食品加工技術。日本四大珍味としての登録を願うのである。
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