1158.節分の豆(2024.2.19掲載)
ある米国人研究者が、「日本の女性が美しいのは大豆のおかげだ」と語っていた。 大豆には女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンが多く含まれ、それが更年期障害を抑制するのだが、「大豆をおいしく食べられるメニューは日本にしかない」らしい。 だから米国人は、イソフラボン源として豆乳をせっせと無理やり飲んでいる。その消費量は日本の約2倍。 煮豆、豆腐、納豆。大豆食品がいろいろ揃う日本は、まさにイソフラボン天国なのだ。 個人的には節分の豆が一番好きである。 豆まきを終えた後、年の数だけ食べる炒り豆。一升マスに盛られた豆を家族団らんで食べた昭和の歳時記は、年齢と共にイソフラボンの摂取量を増やす理にかなったならわし。 年に1個ずつしか増えないはずの炒り豆だが、気がつけばいつの間にか両手にどっさり。特に今年は節分の夜に接待が重なり、さまざまな仕事の鬼を見た後だけに、山盛りの豆が胸につかえた。 ところで、節分の豆市場は意外と大きく、2月3日だけで40億円の豆が消費される。これに恵方巻が加わり、バレンタイン前の食品業界最大イベントとなるのである。 ただ、何の根拠もない恵方巻より、年の数だけイソフラボンだろう。 恵方に向かって黙って寿司をまるかぶりするのをやめ、「鬼は外、イソフラは内」とひとりごつ、還暦の夜なのである。
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