1169.30年目(2024.5.6掲載)
企業が最初の試練を迎えるのは、30年目だとよく言われている。 例えば、多くの外食業界が2004年に創業30年を迎えた。すかいらーく、小僧寿し、ケンタッキーフライドチキン、ミスタードーナツ、マクドナルド、モスバーガー、デニーズ、サーティーワン、ほっかほっか亭。 現時点だと創業50年になるが、生き残ったり消滅したりくたびれたり…。 高度経済成長期に家族のハレの日を演出し、サラリーマンのランチタイムをサポートした外食の雄も、30年目には鬼門にぶつかったに違いない。 ふと、グリム童話の「寿命」という話を思い出した。 神様が世界を創り終えた時、全ての動物たちに30年の寿命を与えた。 しかし、ロバは「重い荷を背負って生きるには長すぎる」と18年を削ってもらい、犬は「そんなにいつまでも走り回れない」と12年を減らし、猿もまた「陽気な馬鹿をやっているには長すぎる」と10年を返上した。 ところが人間は、「自分の家を建て、田畑に実りをもたらし、これから暮らしを楽しもうという時に、なぜ30歳で死ななければならないのか」と、ロバの18年と犬の12年と猿の10年を加え、70年の寿命を受け取った。 だから人間は、最初の30年は人間の寿命を元気に生き、仕事にも喜びを見出して生きる。ところがその後は、へこたれながら重い荷を背負うロバの18年と、走る元気のなくなった犬の12年と、間抜けな猿の10年を過ごすことになった、という話。 まさに外食産業は、BSE、鶏インフルエンザ、新型コロナ、原材料高騰、人手不足など、重い荷を背負ってへこたれるロバの18年間を歩んだのかもしれない。 我が職場もさまざまな試練を乗り越えて創業106年目を迎えているわけで、このような外的要因に負けるわけにはいかない。 伝統に感謝しつつ、新たな寓話を創ろうと思うのである。
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