1170.8の2乗(2024.5.13掲載)
2024年もあっという間に3分の1が過ぎた。 年を取るほどに時間の経過が速くなるのは、物理的にも哲学的にも仕方のない摂理であるが、それにしても速い。 かつて、数学者の森毅先生が「変化は時間の平方根に比例する」とおっしゃっていた。つまり、49歳(7の2乗)の次は一気に64歳(8の2乗)に変化してしまうというのだ。 こんな超高速時代だからこそ、ゆっくりと時間を閉じ込めた熟成商品がヒットし、のんびり時間を無駄遣いするクルーズ船が満室となる。 思えば、昔はテレビドラマのストーリー展開ものんびりしていた。 例えば「3年B組金八先生」の第1シリーズ。特に20話「卒業十日前の初恋」。今のドラマの2乗くらい遅かった。 悦子先生(名取裕子)に恋をした沢村正治(田原俊彦)は、誰もいない自宅で一人物思いにふける。BGMは、オフコースの「さよなら」。そのフルコーラス分、ずっと同じシーンが続くのだ。 これはすごい。トシちゃんのプロモーションビデオよりすごい。70年代のドラマはこんな風だったのか。アナログで、ケータイもメールもなかったあの頃は、こんなにも時間がゆっくり流れていたのか。 金八先生がスタートしたのは1979年。つまり今から45年前。遠い昔のような気もするが、平方根で考えるなら6、7年前だからついこの間だ。 時間は不思議である。 あらためて、これからのスピード時代を乗り切るには時間を平方根で考えなければならないと思う。 還暦を過ぎ、8の2乗に向けて疾走中の今、認識を新たにする大型連休なのである。
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