1179.やや飲める遺伝子（2024.7.15掲載）

　最近、入学してきた新入生に対し、アルコール分解能力の遺伝子検査を実施する大学が増えたと聞いた。 　ＤＮＡ解析でアルコール分解酵素の有無を確認し、「飲める人」「やや飲める人」「全く飲めない人」というような感じでお酒の強さを分類。歓迎会なんかで一気飲みを強要された時に提示する、「飲めません」カードをもらえるらしい。 　この検査、５０００円出せば誰でも受けることができる。かつて、アルコールを染み込ませた絆創膏を腕に貼り付け、１０分後に赤変の度合いをチェックしていた頃とは隔世の感がある。 　そもそも、３万年前から日本で暮らす縄文人はみんな「飲める遺伝子」を持っていた。２３００年前、そこに大陸からやってきた弥生人（渡来人）が「飲めない遺伝子」を持ち込み、混血によってさまざまなパターンができてしまったのだ。 　弥生人が近畿地方に住み着いたものだから、近畿には飲めない遺伝子を持つ人が多い。そして、縄文人は弥生人によって北と南に蹴散らされ、結果、北海道、東北と南九州、沖縄が酒豪地域となった。 　だから、酒豪遺伝子保有率の１位は秋田県、次いで鹿児島県と岩手県である。 　小生は、「やや飲める」タイプだから縄文人と弥生人のハイブリッドか。 　他にも自身を鏡に映すと、ゲジ眉、耳たぶが大きい、涙腺が露出、血液型がＯ型という縄文人の特徴と、目が細い、唇が薄い、汗をかかない、歯の裏が平らではないという弥生人の特徴が混在していることがわかる。 　さらに遡れば、２０万年前に誕生したホモ・サピエンスが６万年前にアフリカを出て世界に広がった時、ネアンデルタール人などの旧人類と交配したことが最新のＤＮＡ解析で分かってきた。 　いずれにせよ、いつの時代もハイブリッドが未来を拓くのだと、やや飲める遺伝子を持つハイブリッドな私は考えるのである。