1183.教師という職業(2024.8.19掲載)
教師を務める同級生の多くが昨年、定年退職を迎えた。 教育現場はもうこりごりと自由人になる先生、生徒の成長を見届けるぞと再雇用で一教師に情熱を燃やす先生、さまざまである。 本当に教師受難の時代だと思う。親のクレームはキツいし、部活の負荷は家庭崩壊に直結する。昭和は教師がリスペクトされ、キラキラ輝いていたのに。 そんな教師の懊悩を知り尽くした教育評論家の尾木直樹先生が、読売新聞で教育と教師像の変遷を学園ドラマ年表とともに論じていた。小生の成長とも重なるクロニクルだった。 1972年、村野武範主演「飛び出せ!青春」。青い三角定規が歌う主題歌「太陽がくれた季節」が妙に耳に焼き付いている。この頃の大学進学率は約24%で教師は尊敬の的。学歴社会が形成される真っ最中で、受験競争に勝ち抜かせるのが教師の役目だった。 1979年、武田鉄矢主演「3年B組金八先生」。伝説の番組だが、現役教師は「あんな先生いるわけがない」と番組に背を向ける。大学進学率は約37%に上がったが、多くの保護者は、暴力生徒を抱きしめ共に涙する熱血教師をリスペクトした。 2002年、仲間由紀恵主演「ごくせん」。いじめ、不登校、学級崩壊、モンスターペアレントなど、熱血教師ではとても手に負えず、任侠集団の跡取り娘という「スーパー教師」的設定となった。大学進学率約44%。高学歴の保護者が増え、教師の地位は落ちた。 2012年、榮倉奈々主演「黒の女教師」。もはや通常の学園ドラマが成り立たなくなった。大学進学率約51%。筑波研究学園都市の高校で化学を教える知人が異常に参観日を恐れていた。父親の多くが博士号保有者で、「最新の学説だとその反応はおかしい」というような突っ込みがあるのだとか。 たまに金八先生の再放送を見ると、当時は衝撃的だった事件がものすごくかわいく見える。時代の移り変わりは本当に恐ろしい。 今度、受難を全うした高校教師ОBと、今後の教師像をテーマに呑み交わす予定である。
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