120.早い安い旨い(2003.05.26掲載)
商品特徴がすぐに3つ出てくるものは売れる。 最近のヒット商品だと、「甘栗むいちゃいました」の簡単、おいしい、手が汚れない。「アミノ式」のヘルシー、おいしい、CMおもしろい。もちろん、元祖3拍子の早い、安い、旨いでオレンジの看板を全国に広めた「ヨシギュー」も忘れちゃいけない。 では、開発した新商品の特徴が2つしかなかった場合はどうするか。 今までは、おざなりの特徴を付けて無理やり3つにして商品化していた。「当社独自の製法でていねいに仕上げました」とか「鮮度のよい近海物のみを使用しました」とか。しかし時代は変わり、客観的に証明のできないものはセールストークとして使えなくなってきた。ていねいってどのくらい?鮮度のよさの根拠は? 高級感を特徴にしようとした外国産の魚の名前だって、いい加減な言い換えはやめなければならない。銀ムツはメロ、甘鯛はキングクリップ、沖ブリはシルバーが正式名称。消費者の立場に立てば当然の情報開示である。 ところで、3拍子揃うのはいい特徴だけではない。悪い特徴がすぐに3つ出てくる商品の末路は、いいもの以上に明白である。暗い、面白くない、演技が下手。テーマの失敗、配役の失敗、演出の失敗。ストーリーがない、歴史がない、見せ場がない…。全てNHK大河ドラマ「武蔵」の評価である。視聴率も16%前後で「水戸黄門」に完敗。「俺は強くなりたい」と新之助が力むたびに、番組の商品力は弱くなっているのである。 早い安い旨い。この究極の商品特徴を越えるものを作ってみたいと思う。
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