1201 .父のまんじゅう
ある日のこと、久しぶりに実家に行くと父親がスリムになっていて、「まんじゅうダイエットで10キロの減量に成功したぞ」と豪語していた。 これは新ネタになるかもと意気込んで話を聞いたのだが、単に好物のまんじゅうを我慢しただけだった。 本人は、「戦中派にとって、まんじゅうの誘惑を断ち切るのはかなりキツイ」と語っていたが、仏壇のまんじゅうを毎日5、6個つまんでいたのだから、ご利益を考えてもまんじゅう断ちは正解だと思う。 そんな仏壇まんじゅうの最大手が、愛媛県にある「あわしま堂」。 同社は、スーパーの仏壇まんじゅうコーナーを一手に牛耳り、バナナまんじゅう、栗まんじゅう、どら焼き、大福、桜もちなどのアンニュイな和菓子を単品で供給するニッチ企業。1時間に1万個のどら焼きが生産可能な製菓ラインをフル稼働させ、日本一の仏壇まんじゅうメーカーになったのだ。 ところで、あわしま堂の肩を持つわけではないが、まんじゅうは結構ヘルシーなお菓子である。特につぶあんがいい。鉄分がほうれん草のおひたし一人分の約2倍、ポリフェノールや食物繊維だって多く含まれている。 さらに、聞くところによると、アンパンマンの顔の中身はつぶあんだというではないか。やっぱりつぶあんは正義の味方なんだ。 まんじゅう断ちでダイエットに成功した父は、その後、第2の好物である甘酒断ちを敢行し、さらに標準体重に近づいた。 先月亡くなった父へのオマージュとして、父のまんじゅう譚を紹介させてもらった。
\\\\
b
column menu
b