127.ライバル(2003.07.14掲載)
食費を削って携帯電話の通話料に大枚をはたく時代が来るとは、夢にも思わなかった。携帯電話に限らず、食品業界はそんな思わぬライバル出現に手を焼いている。 例えば菓子業界。2002年の菓子市場は約3兆1500億円で6年連続の減少。これは、「食玩」と呼ばれるおまけ付き菓子の市場が急拡大した影響らしい。バンダイなどオモチャメーカーが参入した食玩市場はこの5年で約5割も拡大し、あっという間に600億円市場となったのだ。お菓子を食べながらゲームをするという菓子メーカーとオモチャメーカーの団らん共存関係が、徐々に崩れ始めているのである。 それから味噌汁。お弁当の傍らに寄り添う味噌汁が激減している。これは、味噌汁が500mlペットボトルのお茶やミネラルウォーターにかわってしまったため。おじさんからキャリアウーマンまで、今や500mlボトルは手放せない存在となり会議中にゴクリ。ダサイ味噌汁の出番などなくなってしまったのだ。 それにしても500mlペットボトルの勢いはすごい。さぞかし「水商売」の儲けはすごいのだろうと、飲料メーカーに勤める知人に愚痴ってみた。 「味噌汁需要が減ると、だし需要も減って、私の年収も減るんですけど」 「ペットボトル飲料って、あまり儲からないんですよ」 売価150円の500mlペットボトル飲料の場合、メーカー出荷価格は85円前後となる。原料費とボトル代で40円。物流費と広告費で40円。リサイクル料が1円。残った4円が儲けだとか。ちょっとキツイか。「だからライバルはリサイクル」と、リサイクル料を減らすためにボトルの材質の軽量化を検討中らしい。 ケータイ、オモチャ、リサイクル。昨日の友は今日の敵。 かつての名作「巨人の星」でも、星飛雄馬の盟友伴宙太が最後はライバルとなって飛雄馬との死闘を展開する。 ライバルはいろいろなところから現れるものなのだ。
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