139.満腹のあんかけ炒飯(2003.10.14掲載)
わが栄光の巨人軍は、原監督の人事異動騒動ですっかりイメージダウン。「江川事件」以来の醜聞となってしまった。ゴシップの真偽はともかく、昨年とほぼ同じ戦力で戦いながらの低迷には、あまたの評論家が解釈を付けてくれた。どれも納得。 ここで私は、選手補強について講釈してみたい。「ほしがり病」は金満チームの特権として何の問題もないが、数億のギャラで引っ張ってくるビッグネームたちが、今ひとつ往時の力を発揮してくれないのはなぜか。それは、巨人軍入りが選手にとってほぼ最終の目的となってしまっているからではないか。 無名のドラフト5位ながらパリーグで実績を重ね、晴れて巨人軍へ。ドラフトで涙した日々を糧に苦節10年、FAでやっと意中の巨人軍へ。いずれにせよ巨人軍がゴールであり、以後の活躍はプラスαなのである。そこそこのがんばりで夜ごとTVに顔が出るし、年末には特番のオファーも来る。そのうち、CMの話だってあるのだ。 こんな調子だから、決してピークを過ぎたはずではない名選手も下り坂のごとき隠居モードになってしまうのではないか。優勝に絡まなければ新聞にさえ名前が載らないハングリーチームとはモチベーションが違いすぎる。ま、それでも優勝する時があるんだから、底力はすごいんだろうね。 この「巨人軍ゴール説」は、我々がよく敢行する有名繁盛店の食べ歩きにも当てはまる。苦労してたどり着き、行列は苦節2時間。やっと到達した幻のラーメン。もう、味の見極めなんてどうでもいい。とにかく食べたい。そりゃ、うまいはずだよ。 先日も、有楽町の中華料理店「慶楽」で日本一といわれる炒飯を食した。うまかった。が、「荷物を抱えて空腹でたどり着いた果ての味」というプラス効果を自ら消去せんと、満腹状態のまま、あんかけ炒飯をオーダー。卵の白身で作ったとろとろじゅくじゅくのあんが、エビ、ホタテ、イカを束ねて炒飯の上にとろり。満腹でもおいしかった。小食の私が完食した。 つまりは、巨人軍というゴールに到達してもなお力を発揮するホンモノの強者を連れてくればいいのである。満腹でもホームランが打てる選手。マスコミにちやほやされても奢らない選手。これはつよいぞ。 あんかけ炒飯の余韻に浸りつつ、有楽町駅に向かった。 また、巨人軍の有楽町パレードを見たいと思った。
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