143.選択肢(2003.11.10掲載)
ある衆議院議員候補者が公約として掲げる教育改革の目標に、「読み、書き、そろばんの徹底」「青年の矜持を持つリーダーづくり」というのがあった。天晴れすばらしい。ついでに「徴兵制の復活」があってもいいくらいだ。日本再生には若人の修練が必要なのだ。 もう一つ、具体的すぎて恐縮だが「進路指導教官による具体的職業ビジョンの提示」を教育改革策として提案したい。 ただ勉強しろと尻を叩くだけでなく、官僚になればこんなにおいしい、医者のメリットはこれだ、一流企業の給与レベルはすごい等の実態をニンジンとしてぶら下げ、頑張って勉強した先の成功イメージを具体的に提示すれば、もっと学業に入魂するのではないか。勉学に励むということは、すなわち、選択肢が広がるということなんだ。 と、先日、母校の高校教師に直訴したところ、「言って勉強するやつにはちゃんと説明している」とのカウンターをくらった。そりゃそうかもしれないな。とほほ。 選択肢といえば、こんなおもしろいデータがある。リクルートが社会人を対象に転職先人気企業のアンケートを実施したところ、現職のジャンルにかかわらず、ほとんどの職種でトヨタ自動車がトップを占めたのである。銀行マンも技術者もプログラマーもトヨタがいいらしい。ちなみに、食品企業は10位前後にビール会社がちらほら。 ある程度社会の辛酸を舐め、数多の選択肢を知る身にしてトヨタの一極集中。確かにすごい会社である。2003年度上期売上高8兆2242億円、営業利益7677億円の過去最高決算でにして、年間「カイゼン」件数61万件。年間コストダウン額1000億円。TQC活動の手法は、F1レースのピットイン時間短縮にも応用されている。 勉強すれば転職者の理想郷も手に入るのである。さらに言えば、サラリーマンあこがれの職業である指揮者や馬主だって近づいてくる。 ゆとり教育より、ゆとりある仕事。 大和魂注入と併せ、具体的職業ビジョンの提示を教育改革の柱にしてはどうだろうか。
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