150.2003年大団円(2003.12.29掲載)
日経流通新聞が発表した2003年ヒット商品番付を見る。 食品関係のトップは東の関脇に花王「へルシア緑茶」。関東、甲信越限定発売ながら150億円近く売ったのだから妥当な地位か。大ブレイクしたアミノ酸飲料は西前頭2枚目。電通の発表では総合2位だったから少々厳しい評価。 大手企業のマーケティング戦略に頼らない成功事例としては、西の小結に「黒い食品」が登場している。黒五(黒米、黒ごま、黒かりん、黒豆、黒松の実)で有名な黒い食品であるが、他に黒糖、黒酢、黒酒などもある。黒いということは精製されてないということであり、精製されてないということはミネラルや繊維が多いということ。つまり雑多な味、スローフードなコンセプト、昭和の暮らし。 その「昭和」が西の横綱。昭和を代表するものが売れまくり、山口百恵の復刻CDもヒットしたらしいが、黒つながりで、水原弘の「黒い花びら」をリメイクしても良かったのでは。この曲、第1回レコード大賞受賞曲。テレビの受信契約が200万件を突破した昭和34年のことである。 テレビ1億台時代の今日、契約件数といえば「ブロードバンド1200万件突破」が西前頭3枚目に鎮座。メカ音痴の我が部屋にさえBBの黒い機械が座っているのだから、かなりの普及率である。 ブロードバンド契約件数と同じくらいのケース売り上げを達成したのが、西前頭8枚目の「ワンダ モーニングショット」。単純な企画でも市場を作れることを立証したのは、アサヒ飲料株式会社31歳のマーケティング課副課長。 対して、昭和34年のテレビ受信契約件数と同じくらいのケース数しか売れなかったのが、サントリーの缶チューハイ「青春」。初めて缶チューハイに果肉を入れることに成功した画期的商品だったが、商品名に頼りすぎて失敗。3300万ケースを見込むサントリー「氷結」との差が開いてしまった。 へぇー、マーケティングのうまいサントリーでもこけることがあるんだ。と、「へぇ」を叩く機械まで発売した「トリビアの泉」も東前頭4枚目に登場したのだった。 こんな感じの2003年大団円。果たして来年の番付やいかに。 コカコーラがビール風味飲料発売、SARSに効く食品が登場等の前情報も飛び込んできているが、私も幕内に入るヒット商品を作りたいと願う年の瀬なのである。
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