152.メラトニン(2004.1.19掲載)
2004年は閏年である。 地球が太陽の周りを一周する時間は365日5時間48分46秒。この端数を修正 するため4で割り切れる年を閏年とするが、ちょっとおつりが来るので100で割り 切れて、400で割り切れない年は平年となる。 太陽の周期が1年より少し長いように、人間の身体も実際は25時間周期で動いて いる。これは、サーカディアンリズムと呼ばれる体内時計の周期の影響。よって、閏 年で日数調整するように、昼食後軽く昼寝をすればサーカディアンリズムがリセット され体調が良くなる。逆に、光のない洞窟でしばらく生活すると、1時間のズレがた まって昼夜が逆転してしまう。 このような体内時計を仕切っている物質が、メラトニンと呼ばれるアミノ酸の一 種。睡眠誘導ホルモンともいわれるメラトニンは、夕方から増加しはじめ真夜中に ピークを迎えた後減少に転じ、朝となる。また、メラトニンは牛乳にも含まれるた め、寝る前にホットミルクを常用する人も多い。 ここで大塚製薬はひらめいた。人間と同じで牛さんのメラトニンも真夜中にピーク を迎えるはず。ならば夜中に搾った牛乳を飲めば快眠できるのではないか、と。すご い。まさにポカリスエット的発想。事実、真夜中牛乳は通常牛乳の2〜4倍のメラト ニンを含み、開発担当者を安眠へといざなった。 その後「nemu(ネムー)」というネーミングで商品化された真夜中牛乳である が、厚生労働省の指導を受け、「安眠誘導」「快眠」など薬事法に抵触しそうな商品 特徴は一切標記しないで販売している。 牛のBSE、鶏のインフルエンザ、鯉のヘルペス、ついでにハクビシンのSARS と受難続きの水畜産業界であるが、牛の体内時計を利用した商品開発ってのはオシャ レである。センスがあると思う。 今度、真夜中に釣った魚を食してみる、予定である。
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