155.イソフラ天国(2004.2.9掲載)
ある米国人研究者が、「日本の女性が美しいのは大豆のおかげだ」と語っていた。 大豆には女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンが多く含まれ、それが更年期障害を抑制するからだそうだが、「大豆をおいしく食べられるメニューは日本にしかない」らしい。だから米国人は、イソフラボン源として豆乳をせっせと無理やり飲んでいる。その消費量は日本の約2倍。 煮豆、豆腐、納豆。大豆食品がいろいろ揃う日本は、まさにイソフラ天国なのだ。 個人的には節分の豆が一番好きである。豆まきを終えた後、年の数だけ食べる炒り豆。年齢と共にイソフラボンの摂取量を増やす、理にかなった歳時記。年に1個ずつしか増えないはずの炒り豆だが、気がつけばいつの間にか片手にどっさり。特に今年は、節分の夜に宴席が重なり深夜の帰宅。玄関口に豆を投げつける鬼を見た後だけに、山盛りの豆が胸につかえた。 節分の豆市場は意外と大きく、2月3日だけで40億円の豆が消費される。これに丸かぶり寿司が加わり、バレンタイン前の食品業界最大イベントとなるのである。 年の数だけ炒り豆喰らう、恵方寿司よりイソフラボン。 今年はここに、新たなイソフラ仲間が加わった。ハウス食品の新商品「黒豆ココア」。中年女性をターゲットにしたCMが奏効し、9月の発売以来、半年で節分豆と同じ40億円を売り上げたのだ。すごい。 けどくやしい。ココアに黒豆入れただけじゃないか。イソフラ天国に暮らす私たちは、昔からしっかりイソフラボンを摂ってきたじゃないか。 こんな風にひがみつつ、秘かに黒豆だしの素の開発を目論む二日酔いの立春なのであった。
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