156.バリバリ(2004.2.16掲載)
先日、NHKで再放送されていた「原宿24時間(1980年放送)」というドキュメンタリー番組を見た。内容は、竹の子族やロックンロール族にのめり込む若者像の核心に迫るというもので、原宿歩行者天国でのインタビューを中心に構成されていた。 筆者は、竹の子族たちとほぼ同世代であり、違和感なく当時にタイムスリップできるかなと期待してTVの前に座ったのだが、実際は違和感だらけ。25年間でこんなにも変わってしまうのか。25年前はこれが格好良かったのか。 違和感その1.女の子がみんな太っている。これはかなり違和感がある。見事に全員ぽっちゃり顔。ヤンキーもぽっちゃり、家出少女もぽっちゃり。平成の癒し系でもここまでぽっちゃり顔はいない。 これにはデータの裏付けがある。2002年の国民栄養調査を1980年のデータと比較すると、20代女性の肥満者(BMI値25以上)の割合が11.1%から7.0%に減少し、逆にやせの者(BMI値18.5未満)の割合が12.4%から26.0%に急増しているのである。先進国では希有な激やせ傾向。あの頃は健康的だったんだ。 違和感その2.みんな素直。とにかくみんなまじめにインタビューに答えている。リーゼントのロックンローラーが「山形の田舎に帰って百姓するので今日で引退だぜ」と語るシーンは圧巻。当時はそれなりに恐かったツッパリたちだが、今見るとコンビニの駐車場に座り込む若者の方がはるかにコワイ。 違和感その3.バリバリ。当時の流行語だったらしい。「流行語大賞」が始まったのは1984年だったから世間への浸透率は定かでないが、とにかく若者は多用していた。「バリバリかっこいい」「バリバリ最高」。そう言われると使っていたような…。 竹の子族は、「ブティック竹の子」で売られている服を着て踊ったことから付いた名前であるが、この由来を知る若者もすっかり少なくなってしまった。戦争を経験した世代がいなくなると再び戦争が始まると言うが、竹の子族もそうなのか。 20年後の竹の子族にバリバリ期待してしまうのである。
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