160.新人研修大全(2004.3.15掲載)
またぞろ新入社員がやってくる季節となった。まずは学生気分が抜けない新人君に気合いを注入し、社会のオキテを叩き込む新人研修となるのである。 そこで、お金のかからないオススメ研修を3題。 その1「まるめこんだりまるめこまれたり。社会の腹芸を学ぶグループ討議」 正解のない設問に対する答えを5、6人のグループで1つにまとめることにより、折衝能力を養う。有名なのが「若い女性と水夫の物語」。 嵐の海、一隻の救命ボートに若い女性と水夫と老人が乗り、もう一隻のボートに若い女性のフィアンセとその親友が乗っている。その後、2隻のボートは別々の島に漂着。フィアンセに会いたい若い女性は、一夜を共にするという交換条件を呑んで水夫にボートを出してもらう。結局フィアンセには会えるのだが、水夫との関係を正直に話してしまいフィアンセは激怒。なぐさめるフィアンセの親友。傍観者の老人…。 こんなお粗末ドロドロ愛憎劇の5人の登場人物に、無理やり好感度順位を付けるのだ。当然グループ内の意見はバラバラ。だから、まるめこんだりまるめこまれたり。 その2「本質を見抜き、センスを磨く。ネーミング大会」 新聞などでよく見かける1000文字前後のコラムをタイトルを隠して読み、そのタイトルを当ててもらう。短い文章だけに著者の視点はわかりやすいのだが、本当に伝えたいメッセージを読み解くにはそれなりの眼力が必要となる。もちろん貧困なボキャでは気の利いたタイトルが付けられない。まさに、小学校の国語授業であった「作者の言いたいことを10文字以内で書け」の社会人版。 その3「日本人なら自衛隊研修」 これはかなりオススメである。1泊2日食事込みで1人1500円前後と安い上に、いろいろなことが学べる。体力の作り方、組織の作り方、この国の愛し方。そして、階級社会の厳しさも知る。50歳の軍曹さんが、25歳の大尉どのに頭を下げるの図に、フレッシュマンは少なからず衝撃を受けるのである。 20年前、私も、駐屯地内の食堂で1日3300キロカロリーの贅沢メニューを食べながら思い知らされた。 「これが実社会か」 大尉どのと軍曹さんは、食堂も別々なのであった。
|
column menu
|