163.蘇る日々(2004.4.5掲載)
今から四半世紀ちょっと前、中学生になった私は急に色気づき、当時の流行を無節操に追い始めた。例えばVANの服を着て、FANTAを飲みながら、QUEENのLPをDENONのプレーヤーで聞いたりすること(DENONのプレーヤーだけはどうにも調達できず、近所のおぼっちゃま宅のモノを拝借した)。 そして今、不思議なことにこれらのアイテムが揃って復活している。 まずはVAN。福岡市に本拠を置くベルソンジャパンが、「VANファミリー」という店名のカジュアルショップとしてVANを復活させた。現在月商2千数百万円。中心顧客は50歳代男性。 あの頃、赤と黒のロゴをよく教室に落書きした。VANから生まれたSCENEっていうブランドのTシャツなんかもヨレヨレになるまで着た。VANの倒産は1978年だから、私らは最後の世代だったんだ。 次にFANTA。1958年の発売以来、オレンジとグレープで突っ走ってきたFANTAであるが、ここにきてトロピカルフルーツなどの季節限定商品をコンビニに投入。FANTA全体で年間3千万ケースという売上で復活を果たした(清涼飲料ヒットの目安は年間1千万ケース)。 あの頃もオレンジ、グレープ以外のアイテムはあった。ゴールデングレープとゴールデンアップル。おしゃもじおばちゃんに屈し、合成着色料を抜いた変な色だった。3年で消えた。 最後にQUEENとDENON。ついでにKISSも復活しそう。DENONは、母体の日本コロムビアが米投資ファンドの傘下に入ったり日本マランツと経営統合したりという辛酸を舐めた後、ホームシアターブームに乗っかって復活。AVアンプ市場のシェアをヤマハに次ぐ20%にまで伸ばした。 あの頃、デンオンだった呼称はデノンに変わった。 こんな風に、同時期に一世を風靡したブランドが同時期に蘇る理由はよくわからない。しかし、再生は誕生より難しい。 つまりは、かなりのパワーを秘めたブランドだったということなのかもしれない。
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