186.マイクロバブル(2004.9.20掲載)
先日、ドラッグストアーのバイヤーを対象とした展示商談会が横浜であり、食品メーカーも何社かブースを出しているというので、出張ついでにふらっと覗いてきた。 2日間で320億円の商談成立を目標に掲げる展示会場は、食品、化粧品、医薬品、医療機器コーナーに分かれ、さながら巨大なドラッグストアーのよう。違うのは、商品を手にする客が女子高生ではなく、スーツ姿のバイヤーってことぐらいかな。 主催者側スタッフに最近のヒット傾向を聞いてみると、「痩せる、生える、立つ」だと語ってくれた。すなわち「ダイエット、発毛、バイアグラ」。つまりは欲望のかたまり。 そんな展示会場の片隅で、「マイクロバブルで超音波診断」というコピーを掲げ、最新の技術を紹介するパネルを目にした。マイクロバブルとは、その名の通り気泡の直径が1000分の5ミリ程度の小さくて特殊な泡。普通の泡は水面まで上昇してはじけるが、マイクロバブルははじけない。発生後5分間くらい水中にとどまり、静かに消滅する。 応用例として、巨大タンカーの船底をマイクロバブルで覆い、水の抵抗を減らして4%の燃料カットに成功したという報告もあるが、期待されているのはやはり医療分野。血管内にマイクロバブルを注入して超音波エコーを観察すると、より鮮明な血管造影が行えるという。けど、泡を血管に入れちゃって大丈夫かな。 食品分野ではどうか。現時点では、養殖カキの殺菌で実績がある程度だが、泡といえばやはりビール。「マイクロバブルでのどごし滑らか、いつまでたっても泡消えず」ってなビールができるのではないか。 今夏、6年ぶりに2ケタの伸び率を記録したビール業界であるが、「気温が1℃上がると大ビンが100万本増える」という業界の定説を実証しただけで、真夏日の終焉とともにバブルがはじけてしまった。 マイクロバブルの応用で泡と売上げのはじけないビール。業界の夢として研究を始めてはどうだろうか。
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