187.食品業界面接心得(2004.9.27掲載)
10年ほど前から、職場の大卒入社試験の面接官をやらせてもらっている。今は、秋の二次募集シーズン真っただ中。人生折り返したばかりの若造に将来の大器を見抜く眼力など当然ないが、最近の面接傾向のようなものがいくつかあることに気づいた。 まず、研究職志望の理系学生が口をそろえて「専攻は遺伝子です」と言うこと。近年、遺伝子研究の手法が急速に進歩し、実験データが取りやすくなったということもあると思うが、猫も杓子も遺伝子やってますではおもしろくない。食品メーカーの研究で遺伝子レベルの実験なんてほとんどないよ。それより、地味に保存技術とか成分間反応なんかを研究してくれたほうが、よっぽどうれしい。 それと、営業職志望の文系学生が口をそろえて「人と接するのが好きです。アルバイトは接客業やってます」と言うこと。面接でバイト経験を聞くのは定番であり、たしかに営業センスと接客センスには共通するところがある。けど、食品メーカーの営業はもっと泥臭いよ。気力と胆力が身につくワイルドなバイトをしてくれたほうが、よっぽどうれしい。 例えば私の友人は、食品業界で最も過酷とされるパン工場の深夜バイトで汗と涙を流した。夜6時から朝6時まで、クロワッサンのラインでパン生地をパタパタ折りたたみ続けた彼は、寝床でもパタパタ勝手に手が動いて熟睡できず、最終日の退社時、社販のクロワッサン1個10円を10個買い、「バカヤロー」とそれを工場の正門めがけて投げつけた。 大胆にもこのエピソードを面接で披露した彼は、見事食品企業の入社試験に合格したのだ。もちろんパンメーカーではないが。 とにかくスマートじゃなくていい。泥臭くワイルドに、豪快にアバウトに。 かく言う私の最も悲惨なバイト経験は、温泉旅館のカラオケキーボード。2時間1万円というギャラに釣られ「何とかなるだろ」と、のこのこ出かけて行ったアマチュアバンド小僧だったが、実際は客のリクエストを聞いたバンマスが基本のキーだけをメンバーに伝え、楽譜なしで伴奏をするという無茶なプロ仕事。修羅場で笑える胆力がついた2時間だった。 リクルート諸君、気力と胆力での面接突破を祈念しておりますぞ。
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