190.アキバ事情(2004.10.18掲載)
勤務先の東京支店が台東区から千代田区に転居し、最寄り駅が御徒町から秋葉原に変わった。引っ越しも落ち着いた先週、秋葉原のおいしい店を調査しなきゃと新規開拓で飛び込んだ喫茶店が普通じゃなく、時代の変遷を肌で感じる体験をした。 「いらっしゃいませぇ〜」 その声にはハートマーク3つと八分音符が2つちりばめられており、オーダーを取りに来たウエイトレスのエプロンにもハートが3つ付いていた。 「今日はキャンディキャンディでぇ〜す」 後日、オタクのいとこに聞くと、「それ、コスプレ喫茶。ウエイトレスじゃなくて、コスレス」。 秋葉原は変わってしまった。 少なくとも、上京したばかりの20年前は電気街だった。その後パソコン街となり、いまはオタク街か…。 野村総研の発表によると、アニメ、コミック、アイドル、ゲーム、パソコンの5分野におけるオタク層の延べ人数は285万人。市場規模は約2900億円で、全体の11%をオタクが占めるという。この市場を戦略的に狙っているのが今の秋葉原だというのだ。ゆかりの秋葉大権現様も、さぞかし驚かれていることだろう。 確かにオタクは惜しげもなくマニアックで高価な商品を買う。「ガンダムのプラモデルに20万円」なんて話は珍しくない。1995年の創業以来オタクにターゲットを絞り、食品を含むユニークグッズを販売する「あきばお〜」の業績も右肩上がりなのだ。 件のいとこもモデルガンにハマっていて、全く同じ型のモデルガンを必ず3丁ずつ買っている。「鑑賞用」「改造用」「実射用」なんだとか。すばらしき3倍消費。食品もオタクに買ってもらうと3倍消費が望めるのか。「鑑賞用」「加工用」「食事用」…。 オタクに消費を託してしまうほど、不況の影は濃いのである。
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