191.暑いから食べるんじゃない(2004.10.25掲載)
セブンイレブンの味に関するこだわりはハンパじゃなく、弁当、惣菜、調理麺のおいしさは他のコンビニチェーンを大きく引き離して独走状態である。 そして、最も他チェーンを引き離しているのがアイスクリームコーナー。他チェーンが100円前後のメーカー品しか置かないアイスコーナーに、味にこだわった400円のオリジナル商品を並べることで、2位チェーンの2倍以上の売上を誇っているのだ(もちろん62円のガリガリ君も置いてある)。 確かに、丹波の黒豆を使ったカップアイスや、皮がパリパリのモナカアイスなどは価格が全く気にならないおいしさである。「アイスは暑いから食べるんじゃない。デザートとして食べるんだ」というセブンイレブンの主張がよく伝わってくる至福の味なのだ。 セブンイレブンがない地域に住む私であるが、実は今から25年前、「アイスは暑いから食べるんじゃない」ということを実感した事件を経験している。 高校1年の夏休み、所属するサッカー部の合宿で、海沿いの小さな町のスポーツセンターに1週間缶詰にされた。入所してすぐ、「脱走しないように」と財布を没収され、朝6時から夜6時まで炎天下の練習が続いた。 初日の練習後、私を含む数人が海で泳いだのだが、監督はそれが気に入らなかったらしく、「泳ぐ体力が残っているのなら練習メニューを増やす」と、泳いだ部員だけ翌日のメニューに10キロマラソンが追加された。そして、監督は泳がなかった部員にアイスクリームを振る舞ったのだ。体育会に不条理は付き物だが、さすがにこの仕打ちには納得できず、「泳ぐ体力は別です」と若気の至りで抵抗してみた。予想通り答えは鉄拳だったが…。 そして1週間後。合宿最終日の午後は自由行動。もちろん存分に泳ぎ、返してもらった財布を握りしめ、売店のアイスコーナーに走った。 アイスは暑いから食べるんじゃない。 そんなコンセプト、25年前から知っているのである。
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