223.ロハス食(2005.6.13掲載)
いま、トレンド仕掛け人たちが躍起になって推進している消費マインドのひとつに、「ロハス」という考え方がある。正確には、LOHAS=Lifestyles Of Health AndSustainability.で、和訳は「健康と環境を志向するライフスタイル」だとか。ま、ざっくり言ってしまえばおしゃれな「エコ」という感じである。 出どころはアメリカ。1998年に社会学者ポール・レイ氏らが全米15万人を対象に調査した結果、新しい生活観として見えてきたものらしい。全米のロハス層は64万人で市場規模35兆円。これに、日本の経済界もあやかろうとしているのだ。 しかし、今ひとつわかりづらい。そこで、ロハスな一日を紹介。 増白剤を使わない無蛍光綿の服を着て、ヨガで汗を流し、有機野菜たっぷりのオーガニックランチを食べ、省エネ対策が施されたロハスマンションに帰宅…。 そう、お気づきの通り、特に何の変哲もない暮らしなのだ。エコでは倹約するばかりで消費につながらないと悟った経済界が無理やり需要を喚起し、「同じ機能を持つなら2〜3割高くても環境配備型商品を買う」気にさせているだけなのである。 そこで、2〜3割高いロハスな食を調査すべく、今年の初め頃、恵比寿にある「ロハス食堂」を覗いてみた。1300円のドライカレー。極力有機素材を使い、化学調味料は控えているということらしいが、パンチの効いた普通の味だった。2〜3割は高いと思った。ロハスの実体は見えてこなかった。 その後しばらくして、東京在住の友人からロハス食堂が閉店したことを聞いた。続くわけないよな。 ロハスの「S」、Sustainability(持続可能性)がむなしく見えるロハス食。どこまで浸透するか見守りたいと思う。
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