226.昭和まるごと(2005.7.4掲載)
平成17年5月13日、参議院本会議で「昭和の日」法案が可決され、4月29日がやっと「昭和の日」になる。よかったよかった。わけのわからない「みどりの日」じゃ、あの時代が浮かばれないではないか。 そこで、法案成立を記念して、昭和に浸れる三態を伝授しよう。 まず、山本夏彦氏と久世光彦氏の共著「昭和恋々 あのころ、こんな暮らしがあった」を耽読せよ!前にも本稿で紹介したが、行水、ラジオ体操、蚊帳、駄菓子屋、露地などの昭和ワールドが、60点以上の写真とともに紹介されている。この夏、どこかの学校で課題図書になること間違いなし。 次に、NHKの「新日本紀行ふたたび」を注視せよ!昭和38年から昭和57年まで19年間続いた「新日本紀行」を再放送し、取材した場所の当時と今を比較するNHKお得意のドキュメンタリー。これもかなりいい。 民放がほとんど映らずNHKばかり見ていた幼時の私は、冨田勲作曲のテーマ曲に吸い寄せられるようにして祖父と共にブラウン管の前に座した。同い年の「新日本紀行」は、昭和と同義語なんだ。 最後に、JR青梅駅前の商店街「おうめまるごと博物館」に突入せよ!ここは、駅前商店街をまるごと昭和レトロに仕上げた街。ホーロー看板などのB級昭和グッズをちりばめ、立ち食いそば屋の白黒テレビからは戦後の復興を伝える「映画ニュース」。同様のコンセプトで昭和を再現した、「台場一丁目商店街」よりはるかにリアルな昭和である。 昭和は落ち着く。そして、昭和には世代の隔たりを埋めてくれるあたたかさがある。それは、全てにおいて選択肢がなかったから。食事も遊びもテレビも選びようのない状況だったから、全てが共通のランドマークとして私らの心に住みついているのだ。 さあ、まるごと昭和に浸ってみよう。 貧しくも楽しい露地裏が待っているぞ。 そう、私らは昭和に生まれ昭和に育ったのだから。
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