227.団塊料理人(2005.7.11掲載)
いま、男性向け料理教室がにぎやかである。いや、正確には団塊向け料理教室と言うべきかもしれない。 辻クッキングスクールでは、男性受講者の増加に対応して毎週土曜日に男性専用の教室を開設したところ、半数以上が50代後半から60代となった。 大阪ガスクッキングスクールは、「脳を元気にするお料理講習会」を55歳以上の男性向けに開講した。 全国18ヶ所で料理教室を運営するベターホーム協会では、男性受講者が10年間で5倍近くに増えたが、その約半数が60歳以上である。 そう、数年後に定年退職を迎える「団塊の世代」サラリーマンのベクトルが、料理に向かっているのである。約800万人といわれるマンパワーと、平均貯蓄1224万円の財力が料理の世界に向けられれば、自ずと食品業界も盛り上がるに違いない。 私の周辺にも料理に情熱を注ぐ団塊の世代が何人かいる。単純に料理を楽しんでいる人、奥方に罪滅ぼしをしている人、「わた鬼」の岡倉大吉よろしく開業をたくらんでいる人…。 その開業をたくらむ人が調理師免許の取得を心配していたが、飲食店の営業に調理師免許は必要ない。講習会を受講し、その都道府県内のみで有効な食品衛生管理者の資格を取得後、保健所の立ち入り検査を受けて営業許可を取ればいいだけである(調理師は無試験で食品衛生管理者になれる)。 数年後、街にあふれる元サラ系レストラン。接待や出張で全国のおいしい料理を食べ尽くした40年間は無駄ではなかった。おまけに、サラリーマンのツボを心得た癒し系トーク。これは意外とはやるかもしれない。 仕事の悩みや上司の悪口を親身になって聞きながら、経理部をすり抜ける領収書を巧みに発行する団塊料理人。 新たな夜の主役登場の予感である。
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