231.ファシリテーター(2005.8.8掲載)
日本人は会議好きだとよく言われる。そして、その会議はほとんどの場合不毛である。 3、4人集まって議論すれば5、6分で結論が出る案件なのに、20人集めて1時間後に出た結論が「前向きに検討します」じゃ、気が遠くなってしまう。他に、全く違う方向に迷走する会議や、欠席裁判を避けるために顔を出すだけの会議など、ジャパニーズビジネスマンにとっては、かわし方を身につけないと生き残れない必修課題のようなものである。 そんな、超日本的会議の流れを適切にコントロールする手法として「ファシリテーター」という役割が注目を集めている。ファシリテーターは議長のような決定者ではなく、仕切り屋でもない。事前準備、場の雰囲気作り、進行確認、決定と実行の検証などを行うコンサルタント的な存在なのだ。 部長の長話が始まったらペンを立てて部長の前に突き出すポーズを取り、話を切る。会議本来の目的と異なる議題になった場合、「パーキングロット」と呼ばれるコーナーに意見を移して一次的に預かるなど、けっこう使える小技もある。 そんなファシリテーターの話を聞いて、少々強引ながらインシュリンの仕事を連想した。 体内におけるインシュリンも、ファシリテーター同様決定者でも仕切り屋でもない。ドカ食い状態でたくさん食べるとインシュリンが鋭く反応し、余分な糖を脂肪に変える。だから太る。同じ食事量でもゆっくり食べると血糖値が上がらず、インシュリンもおとなしくしていて太らない。かといって、インシュリンが出なくなれば細胞が糖を利用できず、糖が尿に出てしまう。なるほど、インシュリンも糖分利用のコンサルタントだ。 ファシリテーターなど置く余裕もない我が職場であるが、会議で脂肪がたまったり糖が出たりしないようコントロールしなくてはと思うのである。
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