241.こだわりすぎ(2005.10.24掲載)
アサヒビールの「新生」が第3のビール市場で惨敗し、11月上旬で生産中止になるらしい(11月下旬に「新生3」にリニューアル)。発売後半年でリニューアルという社内記録を更新した理由は、「こだわりすぎ」だった。 消費者が第3のビールに求めるのは、「低価格」「カジュアル感」「気軽さ」。そこを読み切ったキリンビールは、山口智充がキリンのセールスマンを演じるカジュアルなCMで「のどごし<生>」をアピールして大ヒット。年間目標を3000万ケースに上方修正した(ヒットの目安は年間1000万ケース)。 かたや、スーパードライの成功体験を引きずってしまったアサヒは味もCMもこだわりすぎ、織田裕二が青空の下で「新生」を飲み干す王道シーンとともにコケた。 なるほど、何でもこだわればいいってもんじゃないんだ。 私も、以前100均商材のデザインで高級感を出し過ぎて失敗したことがあった。割安感が伝わらなかったのか、価格とパッケージのバランスが悪かったのか、やはり100均商材にはダイソーの看板のような軽さが必要だったのかもしれない。 ところで、アサヒビールは第3のビール敗退をそれほど気にはしていないといわれている。当初、サッポロとサントリーだけだった第3のビール市場にキリンとともに参入すれば増税の可能性が高まり、第3のビール増税の見返りにビール減税が実施されるかもしれない。シェア40%超のアサヒにとってはそれもまたメリット、と判断したというのだ。 ビール46.5%、発泡酒35.6%、第3のビール23.2%。たしかにこの税率の差はいびつである。 成熟市場の上に4社の寡占状態であるビール市場。「ガチンコで殴り合う」と揶揄される「他社分捕りマーケット」は、マーケティング戦略のお手本ともいえる。 税制改正も絡んできて、目が離せない市場なのである。
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