243.静岡マーケティング(2005.11.7掲載)
先日、愛・地球博のおみやげで愛知県限定の「コメッコ 天むす風」をもらったのだが、こういったスナック菓子の地域限定商品も、最近あまり珍しくなくなってきた。江崎グリコでは、これまでコメッコ以外に「ポッキー」「コロン」などで35品目の地域限定商品を発売しているし、明治製菓でも「カール」「きのこの山」「アポロ」などの地方版が36品目を数える。 このような地域限定戦略を業界ではエリアマーケティングと呼び、一般的には全国発売前のテスト販売的な意味あいで使うことが多い。 例えば、サッポロビールのヒット商品「ドラフトワン」は、九州北部4県でのテスト販売で実績を上げ、全国発売となった。また、大塚製薬のリラックス飲料「ワナナイト テアニン」は広島県、不二家のチョコレート「ショコラジャポン<雅姫>」は北海道でエリアマーケティングを実施している。 ところで、テスト販売で最も人気のある地域をご存じだろうか。それは、静岡県である。1970年にJTがたばこの新商品をテスト販売したことがきっかけで、食品メーカーも利用するようになったらしい。 人気の理由として、東西の食文化の境目で味の嗜好が全国の傾向を反映しているということや、静岡新聞とSBS静岡放送という地元メディアが圧倒的に強く、CM効果が大きいことなどが挙げられるが、一番の理由は「平均的な地域」だということ。 人口構成が全国平均に近く、320万円という1人あたりの県民所得も全国平均とほぼ同じ。平均消費性向に至っては、73.1(静岡市)で全国平均と全く同じなのだ。つまり、平均県。ということは、静岡県で平均的な暮らしをしている人は、日本人の平均像ということになる。 しかし、「平均的」という言葉の裏には、「平凡」という意味も含まれていそうで、なんとなく静岡県民に失礼な気がする。いち早く新商品を手に取れるというメリットはあるのかもしれないが…。 2番人気の広島県、3番人気の北海道と併せて、そのへんの実状を聞いてみたいと思うのである。
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