244.大河の味(2005.11.14掲載)
今年の大河ドラマもいよいよ終盤を迎え、せつない展開になってきた。毎週見ていると義経の不遇が身から出たさびのように思えてきて、「判官びいき」という言葉もなんとなくむなしい。 ところで、今回の大河ドラマは食事のシーンが少ないように思うが(3年前の「利家とまつ」では、まつの作った味噌汁がよく登場した)、時代考証的には、質素な生活を好んだ頼朝の食事が簡素だったから仕方ないのかもしれない。 その後、政権が北条家に移ると武家の暮らしはさらに合理的になり、狩猟で捕らえた鳥獣をそのまま食べる自然調理となる。塩や酢などの調味料は食卓で食べる時に利用する程度で、調理の過程で味付けすることはほとんどなかった。それが、戦国時代になると調味料が飛躍的に発達し、戦のためにも美味しい食事を追求するようになるのである。 そこで、来年の大河ドラマ「功名が辻〜山内一豊の妻〜」放映を記念して、戦国武将のグルメぶりを考証してみたい。 チャレンジャー信長。南蛮文化に興味を持った織田信長は、宣教師からパンや獣肉やこんぺいとうを入手して新しい味に挑戦した。ただし、合戦前には茶漬けを立ったままがっつき、勝利へと邁進する。 ヘルシー秀吉。日本一の出世男である豊臣秀吉の好物は、苦労人らしく大根とごぼう、それにお粥。結果的に健康食。しかし、長寿を追求するあまり食したトラの肉が腐っていて、63歳で命を落とす。 イソフラ家康。当時の平均寿命の倍近い75歳まで生きた徳川家康は、三河の焼き味噌を好んで食べた。大豆100%の三河味噌はイソフラボンたっぷりで長寿に貢献。ちなみに、家康の死因も食あたりとされている(鯛の天ぷら)。 時代を作った人は常に挑戦者。そして、誰よりも健康に気を遣う。平成の御代においても然り。教訓を胸に、来年の大河ドラマに臨む所存である。
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