245.日の丸弁当(2005.11.21掲載)
先月、小泉首相に先駆けて靖国神社を参拝してきた。凛とした空気の中、二礼二拍手一礼。外国人観光客の視線を浴びると余計に気合いが入り、背筋がシャンとする。 英霊に最敬礼して参道を後にすると、ちょうどお昼時だったせいか弁当屋のミニバンにサラリーマンが列を作っていた。「場所柄、日の丸弁当では」と期待してのぞき込んだのだが、ごく普通のから揚げ弁当だった。 九段坂まで進出してきた弁当屋に象徴されるように、中食市場は成長を続けている。食品市場70兆円の内、中食は6兆円とまだまだ小さいが、家庭内消費の内食市場(39兆円)、レストランなどの外食市場(25兆円)が減退する中、着実に伸長しているマーケットなのである。 これに目をつけた外食の雄「すかいらーく」は、中食市場の取り込みを狙うべく、持ち帰り寿司最大手「小僧寿し本部」の発行済み株式の30%を、35億円で取得したのだ。負けじと「ロイヤルホスト」も天丼チェーン「てんや」の株を33%取得している。 IT業界さながらの乗っ取り戦略だが、地味な食品業界にはあまり似合わない攻防である。すかいらーくと小僧寿しは、ともに1970年創業の同い年企業。戦後のどさくさから這い上がり、高度経済成長に乗っかって、バブル経済にもまれながら家族のハレの日を演出した外食産業。中食を狙うなら、原点に帰って日の丸弁当からスタートしてはどうか。 かつて、自民党の古賀誠氏は国旗・国歌法案の衆院審議入りに際し、「スムーズな審議を祈念して」共産党を除く各党の国対委員長に日の丸弁当を配った。やはり、スタートは日の丸弁当からだ。 心新たに気を引き締めた、私的参拝の昼下がりであった。
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