249.締め(2005.12.19掲載)
忘年会最盛期に突入し、1年の総括をしつつアルコールに溺れ続ける日々である。食品メーカーにとって、12月は平月の3倍稼ぐビッグイニング。飲み歩く余裕などないはずであるが、やり残した仕事に未練はないぜと週末の夜。「12月末は個人の締め、3月末は法人の締め」という個人的見解により、未達成の今期課題は3ヶ月先送りして宴席をハシゴするのである。 たしかに、東証上場企業の約8割が3月末決算だし、我が職場もそうである。しかし、食品メーカーの決算月は意外とばらけている。 例えば、ビール会社は税務当局への届出時期と一致させるため12月末決算だし、酒造メーカーは原料米の割当量などを計画する都合から6月末決算。また、先週出張してきた枕崎方面で言うなら、かつお節屋は秋の戻りガツオをかび付けまで加工して出荷し終えた1月末。知覧茶で有名な茶畑は、新茶が出回る前の4月末、等々。 四季が移ろい、自然の恵みを生業とする食品業界の決算もまた移ろう。いいじゃないか、日本的で。 しかし、学校の決算月だけは3月から動かさない方がいいと思う。欧米に合わせて8月決算9月入学制度にすると留学や転入がスムーズだという向きもあるが、1つの学年が夏で終わってしまうのは、ただでさえ寂しい夏の終わりをよりセンチにしてしまう。それに、日本には運動会がある。結成間もない新クラスでは盛り上がりに欠けるだろう。 日本人は総括下手な民族だとよく言われる。「終わりよければすべてよし」で片付けてしまい、途中経過の反省をしないというのだ。まぁ、それもいい。締めの季節さえ間違えなければいいのである。 個人の締めを芋焼酎で流しながら、決算月のことを考えた年の瀬であった。
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