250.2005年大団円(2005.12.26掲載)
先日上京した際、初台の東京オペラシティに鎮座する12メートルのクリスマスツリーを拝んできた。吹き抜けの3階部分にまで達するツリーには2万球の発光ダイオードがちりばめられ、この時期、庶民の軒先でよく見かけるしょぼいイルミネーションを見下すようにそびえ立っていた。 これはすごい。東京ボーイはこんな所でデートの待ち合わせをするのか。 あぁ、参りました。 東京に生まれなかった出自を恨みつつ、今年の水産業界を振り返ってみた…。 クリスマスイルミに多用された青色発光ダイオード。ご存じ中村先生の手になる開発だが、今年は水産業界にも進出してきた。なんと、イカ釣り漁船の集魚灯に導入されつつあるのだ。省電力の発光ダイオードを利用することにより、燃料費を約半分に削減できるらしい。ちなみに、海中にいるイカが感じる光は青色ではなく、従来の集魚灯と同じ波長で問題なし。 そんな、最先端技術の導入を検討中のイカ漁も、やはりエチゼンクラゲの異常発生には悩まされた。毎日5億匹のクラゲが日本海に流入するというのだから、水産学会も放ってはおけない。そこで、「クラゲ類の大量発生とそれらを巡る生態学・生化学・利用学」というシンポジウムを東京海洋大学で開催した。使える報告としては、ウマズラハギの養殖飼料としての利用だろうか。人工飼料2gとクラゲ140gが同じ栄養価値だという(1日必要量)。 養殖といえば、今年の暮れは養殖カキ受難の日々だった。保健所から「ノロウイルス注意報」が発令され、「汚染されたカキなどの二枚貝」が感染経路の一つとして名指しされてしまったのだ。確かにカキは十分加熱した方がいい。しかし、ノロウイルスは人体の中でしか増殖せず、カキの中で増えることはない。つまり、手洗い励行などの二次感染防御の方が重要なのである。ちなみに、生産量全国一の広島県のカキは、生食用、加熱調理用の区別なく滅菌海水でカキ体内を浄化している。 青色発光ダイオードからノロウイルスまで。バラエティに富んだ2005年の水産業界であった。
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