262.外食産業近況報告(2006.3.27掲載)
現在の外食産業市場は28兆円、店舗数で157万店といわれているが、この5、6年ずっと縮小傾向である。 ライバルはコンビニ。例えば、セブンイレブンの売り上げの約4割(1兆円)が外食産業と競合する弁当、惣菜、調理麺であり、そのこだわりは肉の炭火焼加工やおにぎりのふんわり成型など、ハンパな外食店ではついてこられない。全国1万店超のスケールメリットを、全て品質のこだわりに注ぎ込む姿勢はすさまじい。 そんな外食冬の時代の近況報告をお届けする。 まずファーストフード。マクドとモスとケンタばかりが目立って、これらに続く中堅チェーンが出てこない中、三菱商事系の「東京スープストック」がどこまで頑張るかに注目。 ファーストフード成功のポイントは、坪単価7万円以下の家賃だと成功しないといわれる立地。そして、客を効率よくさばく生産性。マクドのハンバーガーがいかに効率を追求したものであるかは、五反田の専門店「フランクリンアベニュー」で1個1300円のハンバーガーを食べるとよくわかる。 立地といえば、あえて田舎に出店することを戦略にし、対売上家賃率3.3%を達成したファミリーレストランのジョイフル(通常は10%前後)。ランチ税込み399円は誰も真似できない。いま一番元気なファミレスである。 親戚に回転寿司の単独店を経営するおじきがいる。連日行列の繁盛店であるが、「素材のレベルを上げれば回転寿司は必ずはやる。けど、原価率が50%を超えてしまった今は、はっきり言って自滅寸前」とぼやく。回転寿司をやるなら和食、居酒屋ブームの中国、韓国がお勧めかもしれない。 東京ならではの外食空間に、丸ビル、六本木ヒルズ、汐留シオサイト、表参道ヒルズなどがある。これらの名所を徘徊するのは私を含めたおのぼりさんばかりであり、リピートはない。バカ高家賃のせいで不採算店が多い上に、味よりもトレンドによる集客だから、シェフの腕も怪しい。 ということで、最後に田舎発信で頑張るイタめし系フランチャイズの新星「タケシカンパニー」を紹介する。15年前頃から松山で「サンタサンタ」「カプッチョ」「BONTA BONTA」「トスカーナの休日」などを成功させた同社は、現在「マルデナポリ」などのフランチャイズ店を全国展開。世田谷店も満席だった。 田舎出身の店は、少ない人口の中で集客を鍛えられているから強い。これからの外食産業は、地方都市に発展のヒントがあるのかもしれない。
|
column menu
|