264.おかわりの引き際(2006.4.10掲載)
民主党の引き際ドタバタ劇にうんざりした頃、大相撲春場所で大関魁皇の引き際の悪さにがっかりした。 優勝5回、大関在位34場所の名大関魁皇はすでに年寄株「浅香山」を取得しており、いつやめてもいい状態。なのに、「負け越したら引退」宣言までも撤回して現役にこだわった。結果、9度目のカド番はぎりぎり脱出したものの、武士道的には美しくなかった。 なぜか、25年前のピンクレディーの引き際を思い出した。 ピンクレディーの解散コンサートは1981年の3月、雨中の後楽園球場だったが、78年の「モンスター」「透明人間」「カメレオン・アーミー」あたりから、もういいやという空気がブラウン管いっぱいに漂い始めていた。同年4月のラスベガス公演を皮切りにしたアメリカ進出が無謀なことくらい、中学生の私にもわかった。 土俵やステージの上にはお金がたくさん落ちていて、きっと、やめるにやめられないんだろうな…。 食品ネタで引き際といえば、売れなかった新商品を廃盤にするタイミングのことなんかがすぐに思い浮かぶが、これはちょっと生々しい。そこで、食事の引き際について。 食事の引き際は、おかわりするか腹八分目で我慢するかの内なるせめぎあい。腹八分目の方が健康的であるということはなんとなく想像できるが、このことは、ラットの実験でも証明されている。 ラットを3群に分け、「満腹の食事で運動あり」「満腹の食事で運動なし」「腹八分目の食事で運動なし」という条件で飼育したところ、腹八分目グループが最も長生きしたのだ。満腹グループは、ガンや糖尿病で寿命を縮めていたらしい。なるほど、おかわりも引き際が大切なんだ。 これとは別に、国立がんセンターが4万人を対象に行った10年間の追跡調査では、男性の場合、小太りの方がヤセより長生きするというデータが出ている。けど、それはそれ、腹八分目で小太りを目指せばいいのである。 4月10日。新年度、新学期が始まり、そして桜は散る。 スポーツと、芸能と、食事の引き際を考えてみた春の一日であった。
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