276.W杯三態(2006.7.3掲載)
W杯ドイツ大会も佳境を迎え、すぐに忘れる国民性よろしく、ジーコジャパンの敗退がなかったことになりつつある。そこで、超間接的にW杯と関わる知人3人の取材をもとに、今大会を側面から捉えてみた。 その1.肉を食べよ 母校のサッカー部顧問である右翼系鬼教官N氏は、ジーコジャパンの玉砕を早くから予想していた。選手の線が細すぎて当たり負けする、親善試合ならテクニックでごまかせるが、W杯では通用しないという読みだった。 「もっと肉を食べなきゃダメだ。畏れ多くも明治5年1月、明治天皇が初めて牛肉を食された。御歳21歳。まだまだ肉食の歴史は浅い」 わけがわからないが、私のゴールキーパー経験を思い返してみても、ウマいフォワードよりデカいフォワードの方がいやだった。 その2.同じボール スポーツ用品店に勤務する知人M氏が、今回の公式試合球のヒミツを教えてくれた。アディダスブランドの公式球だが製造は広島のモルテン、工場はモルテンのタイ工場。従来球は32枚のパーツを手縫いしていたが、今回は14枚のパーツを機械で熱接合。糸を使わないから雨天でも内部に水がしみこまない(雨の日は球が重かった〜)。 「機械製造だから個体差が無く、試合途中でボールが変わってもプレーに影響しない。ぜ〜んぶ同じボール。当店で1万5千円で買っても同じボール」 だから次々ボールが出てくるんだ。思えば現役キーパー時代、ゴールラインを割ったボールを自分で拾いに走った。これだけで体力を消耗した。 その3.イタリア優勝 証券会社に勤務する友人I氏は、イタリア優勝を願っている。経済情勢が非常に悪いイタリアが優勝すれば、自国の株価上昇と0.7%程度の経済成長押し上げ効果で景気回復に貢献するというのだ。W杯開催で6万人の雇用を創出し、国民所得を0.3%押し上げるとされるドイツは準優勝くらいでいい。 「ドイツ大会の日本における経済効果は約4000億円。ただし、テレビ観戦で外出を控えることによるマイナス効果が1742億円もある。前回日韓大会の予選3試合は、デパートにとって台風3回分の脅威だった」 確かに、ダイジェストを見た後、0時からの試合に備えるというパターンで、夜のクラブ活動自粛中。 悲喜こもごもW杯三態なのである。
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