280.小梅の謎(2006.7.31掲載)
小学校4年生の時、県立博物館が主催する「自然科学教室」というフィールドワーク中心の勉強会に参加していた関係で、毎月バスに揺られて山中を駆け回っていた。動植物を観察したり、化石を掘ったり、結構ハードな日帰り研修だった。 でこぼこ山道でバスに揺られても乗り物酔いはせず、ゲロ袋不要のタフガイだったのだが、おやつに当時新発売の「小梅」を食べるとなぜかゲロってしまうという怪現象が発生した(3回目ぐらいで小梅との因果関係に気づいた)。 小梅は、昭和49年にロッテから発売された甘酸っぱい梅味のキャンデーで、いまも発売されているロングセラー商品である。パッケージキャラの小梅ちゃんは明治生まれの15歳で、東京は小石川の出身。名門、綾小路家の一人息子「真」に淡い恋心を寄せているという設定らしい。そんなことはどうでもいいが、どうして小梅でバスに酔ってしまったのだろう。 以前、NHKの「ためしてガッテン」で、乗り物酔いの原因調査を行った結果を発表していた。それによると、睡眠不足、空腹、読書、排気ガスやタバコの臭い、「酔う」と考えた、映画を見た、姿勢が悪かった、甘いジュースを飲んだ、コンピューターゲームをした、雨だった、という順。小梅はない。 また、東京厚生年金病院の石井正則部長は、乗り物酔いの経験がない20代の250人以上を対象に、乗り物酔いを起こす実験を行っている。その結果、3時間睡眠、空腹、読書、バスは8の字走行+急発進、という条件が重なると、87.5%の人が乗り物酔いを起こしたという。ここにも小梅はない。 小梅ちゃんの美貌に酔ったのかも、と思ったりもしたが、パッケージに小梅ちゃんが登場したのは昭和57年で新発売の8年後。原因は、いまだに謎のままである。 乗り物酔いは10代半ばでピークを迎え、その後は減少。40代で再び増加に転じるらしい。 再び小梅に注意なのである。
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